特定技能「飲食料品製造業」とは?外国人雇用の準備・ステップ・注意点

近年、日本の飲食料品製造業界では人手不足が深刻化しています。その解決策の一つとして、外国人材を雇用するための在留資格「特定技能」が注目されています。

この記事では、特定技能『飲食料品製造業』について、知識がない方にもわかりやすく解説します。外国人雇用に向けた準備やステップ、注意すべきポイントをしっかり押さえ、外国人材を受け入れる際の不安を解消しましょう。


特定技能「飲食料品製造業」とは?

特定技能「飲食料品製造業」は、食品や飲料(酒類を除く)の製造・加工に従事する外国人を受け入れるための在留資格です。

背景と概要

特定技能は2019年に導入された新しい在留資格で、即戦力として働ける外国人を受け入れる制度です。「飲食料品製造業」はその中でも大きな分野で、特に人手不足が深刻な業界での需要が高まっています。

  • 受け入れ人数の増加 当初、2019年から5年間で約3万4000人の受け入れを見込んでいましたが、需要拡大に伴い2022年には上限が8万7200人に引き上げられました。さらに、2024年4月からの新たな5年間では、最大13万9000人の受け入れが予定されています。

特定技能「飲食料品製造業」は、食品製造業界にとって人手不足解消の強力な手段となっているのです。


どのような外国人が働けるの?

特定技能「飲食料品製造業」の在留資格を取得し、働ける外国人は以下の2つの条件に当てはまる方です。

① 試験に合格した方

外国人材は以下の2つの試験に合格する必要があります。

  • 技能試験: 「飲食料品製造業技能測定試験」
  • 日本語能力試験: 「国際交流基金日本語基礎テスト」または「日本語能力試験(N4レベル以上)」

② 技能実習2号を修了した方

技能実習制度で「飲食料品製造業」の2号技能実習を修了した外国人も、特定技能の資格を得ることができます。

これらの条件を満たした外国人は、食品の製造や加工に必要な知識と日本語能力を持つ即戦力として働けます。


対象となる業種と業務内容

特定技能「飲食料品製造業」で働ける業務は、飲食料品全般(酒類と塩を除く)の製造・加工、安全衛生の管理です。

具体的には、次の業種や業務が対象になります。

対象業種(日本標準産業分類)

  1. 食料品製造業(例:冷凍食品、調味料、菓子類、パン類)
  2. 清涼飲料製造業
  3. 茶・コーヒー製造業
  4. 製氷業
  5. 菓子小売業(製造小売)
  6. パン小売業(製造小売)
  7. 豆腐・かまぼこ等加工食品小売業

主な業務内容

  • 食品の製造・加工
  • 衛生管理
  • 原料の調達・受入れ、製品の納品
  • 設備や工場内の清掃・管理

飲食料品の安全性を確保するため、HACCP(ハサップ)に沿った衛生管理の知識や技能も必要です。

補足:HACCPとは、食品の安全を確保するために、製造過程で危害を予防・管理する国際的な衛生管理手法です。



外国人を雇用するための準備とステップ

① 特定技能所属機関(受け入れ企業)の要件

外国人を雇用する企業は「特定技能所属機関」となり、以下の要件を満たす必要があります。

  • 食品産業特定技能協議会への加入
  • 協議会や農林水産省の調査への協力
  • 外国人材の支援計画の実施

支援計画の実施が難しい場合は、登録支援機関に委託することも可能です。

② 雇用形態と報酬の条件

  • 雇用形態: 外国人材は企業と直接雇用で契約を結びます。派遣雇用は認められません。
  • 報酬: 日本人と同等の報酬を支払う必要があります。外国人だからといって給与を低くすることは許されません。

③ 必要書類の準備

外国人材を雇用する際には、労働条件通知書や給与規定を含め、以下の書類を整えましょう。

  • 雇用契約書
  • 支援計画書
  • 特定技能外国人の報酬額説明書


特定技能試験の内容と合格のポイント

外国人が特定技能「飲食料品製造業」の資格を取得するには、以下の試験に合格する必要があります。

1. 飲食料品製造業技能測定試験

  • 食品の衛生管理や製造工程の知識
  • 食中毒や異物混入への対応
  • HACCPに基づく衛生管理の理解

試験内容は学習テキストから出題され、主な内容は以下の5つです。

  1. 食品安全・品質管理の基礎知識
  2. 衛生管理の基礎
  3. 製造工程管理の基礎
  4. HACCPによる衛生管理
  5. 労働安全衛生の知識

2. 日本語能力試験(N4レベル以上)

日本語で簡単な会話や業務指示を理解できることが求められます。

試験は国内外で実施され、海外では現地語で受験できる場合もあります。


外国人材受け入れの注意点

外国人を雇用する際には、以下の点に注意しましょう。

  1. シンプルな言葉の使用
    日常会話レベルでは問題なく対応が可能ですが、難しい用語は置き換える必要があります。日常会話においては、ゆっくりと基本的な単語で話せば理解できます。
  2. 支援体制の構築 
    外国人材が安心して働けるよう、生活面や業務面のサポート体制を整えましょう。
  3. 文化や習慣の違いへの理解 
    外国人材が働きやすい職場環境を作るためには、相互理解が重要です。



まとめ

外国人材の受け入れは企業の成長と未来を支えます。特定技能「飲食料品製造業」は、人手不足に悩む食品製造業界にとって、安定した労働力の確保や生産性の向上が期待が見込める、大きな力となる制度です。

しかし、受け入れには制度の理解や支援体制の構築が欠かせません。

合同会社ベルコンサルティングでは、登録支援機関として、外国人材の採用から受け入れ、支援体制の構築までを一貫してサポートしています。

「外国人材の受け入れを検討しているけれど、何から始めればいいかわからない」という方は、ぜひ登録支援機関である合同会社ベルコンサルティングにご相談ください。

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